トラブル解決の基本 ~再発防止対策~

多くの仕事を行ってきて思うのは、トラブルが起こった際に責任追及をする職場や組織が多いことです。

責任追及をして、現状が改善するのでしょうか?

徒弟制の現場の一時的な対策としては有効かもしれません。

相手を謝らせて、気が済む人もいるでしょう。

賠償責任を負わせて、被害額を請求するという方法もあります。

しかし、トラブルの根本原因を放置したままにしています。

責任追及すれば終わり?

結局これではトラブルはまた起きます。

起きた原因をしっかり探し出して対策しない限り、トラブルはなくなりません。

これを図にすると以下になります。

トラブルはどうして起こったのか?

そしてそれはどうすれば防止することができるのか?

その点をしっかりと分析する必要があります。

原因と対策をまとめると、以下の表のようになります。

トラブル分類原因対策
個人的知識不足教育・学習
技術不足練習・実習
経験不足練習・実習
用具・装備不足購入・装備
能力不足認知機能テスト 等
組織的作業標準不足作業標準作成
台帳等の記載フォーマット不良台帳等記載フォーマット修正
ルールの矛盾などの不備ルールの矛盾をなくす
ルールの周知方法の不備ルールを周知する
情報伝達システムの不備情報伝達システムの整備
設備・道具の不備設備・道具の整備
教育体制の不備教育体制の整備
外部・環境個人的・組織的原因ではない原因個人的・組織的対策で対策する
トラブルの原因と対策

外部・環境原因によるトラブルは、個人や組織ではコントロールできない原因とします。

ところが、そのような外部・環境原因によるトラブルは数多くあります。

個人的・組織的対策を共同で行って、そのような外的要因のトラブルに対応するようにすることが、本来的なトラブル解決になるのです。

個人的組織的外部・環境
1.原因個人的原因組織的原因外部・環境原因
2.再発防止対策個人的再発防止対策組織的再発防止対策(個人的・組織的対策で防ぐ)
3.対策実施個人的対策実施組織的対策実施(個人的・組織的対策で防ぐ)
トラブル再発防止対策実施の全体

本来ここでやっと責任追及ができます。

個人的にも、組織的にもやるべきことはすべてやったけれど、それでもトラブルが発生した。

これはもう外部要因の責任として構わない案件です。

自責、他責議論がありますが、私はすべてを自責にするのは間違っているし、すべてを他責にするのも間違っていると考えています。

それは、表「トラブルの原因と対策」に示したように、原因が多岐にわたるからです。

労働災害は、あらゆる事故や災害に安全配慮義務を行う会社の怠慢がある、基本的には組織的人災であるため、労働災害保険は労働者が支払う必要がないとなっていると考えます。

しかしそのような安全配慮義務は、ただ責任追及するだけでは配慮もできません。それは労働者が使用者を責める、使用者が労働者を責める、両方に言えることです。配慮を行うためには、お互いに連携しあう必要があります。

トラブルの原因を確認し、追及し、再発防止対策を実施することで初めて安全配慮義務を達成できます。